2018-01-01から1年間の記事一覧

無題

俗っぽい流行りの歌に簡単に涙を誘われ、アイラインは完全に落ちて、最後に我慢していた涙が鼻をかすめる 改札を抜けて数十歩 あの時、振り向いて良かったのだろうか 無邪気さを装って手を振って良かったのだろうか 夜が明けていくのを車窓越しに見ている 最…

無題

「傷付けたくないから」といって不作為の行動をとるのは、きっと怠慢なのだろう 真意を説明する手間を惜しまないことこそが大切だったのだと、後になってようやく気が付く 本当に欲しいものは口に出せなくて、代替品はすぐに壊れる不良品ばかり 人からもらっ…

無題

器量がない分すぐにいっぱいいっぱいになってしまう やらなくちゃいけないことがちゃんと出来ない 手間取ってさらに泣きそうになる 胃がじんわりと痛む 目覚ましの音が聞こえなくなって緑色のカプセルを飲んで私は自分が今何処に居るのかすらも分からなくな…

無題

忘れられない思い出が思い出せない 380000キロ、あの惑星と同じくらい遠いところにそれはある気がする これから過ぎる季節・事象にわたしは何を想い、何に胸を切なくさせ、そして何回それらを忘れたくないと願うのだろう 一体わたしの手元には何が残るだろう…

6

なんとなくの寂しさの僻地 そこから抜け出せずにいる25時 解毒の電話 先手を打っておきたいのだ、何事にも いつダメになってしまってもいいように 意味を履き違えた言葉で人を傷付けたり、煽てたり、自分を守ったり、憐れんだり、そうやって積み重ねた間違い…

無題

この時期の朝5時と夕方6時の空の色はとてもよく似ているぼんやりとした水色だ もう暫く泣いていない 俯いて歩く帰路はままあるけれど、ありふれた慰めの言葉を求めることはなくなった わたしの心はいくらか丈夫になった気がしている 嫌いになりたくない人を…

無題

『踊るんだよ』『みんなが感心するくらいに』『音楽の続く限り』 自分がこの世界に留まり続けるため わたしはどんなステップを踏むだろう ちゃんと音楽に合わせて足を動かせるだろうか 途中で諦めたりしないだろうか 『どんな美しいひとも じぶんの嘘に気づ…

5

とても怖い夢をみた それがどんなものだったのかは思い出せないけれど ふと、その恐怖の輪郭をなぞる昼下がり 無意識に誰かを傷付けている人を悪だと判断すること自体、烏滸がましいことなのかもしれない だって善悪の分別なんて、そんなものは自分の主観と…

無題

『今、記憶にある限り生まれて初めて生きたい、と思った』 というメモが出てきたけど、それがいつの日のことなのか私は思い出せなかった 例えば誰かと居ると寂しさは紛れるけど、根本的にその寂しさを取り除くには自分で何とかしなきゃいけない そんなことを…

無題

季節の回転についていけない 気がついたら半袖のTシャツを着ていた 12月のクリスマス前の空気がとても恋しい 何をするにもいちいち怖気付いてしまっている気がしている 自分の自尊心がすり減ってしまっている気がしている 何か大切なものを見逃してしまって…

無題

誰が好きだとか、何が嫌いだとか、あれが欲しいだとか、これがダサいとか全部全部どーでもいいと思う でも朝目が覚めるとそれら全てを気にしながら生きている

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午後3時の影と歩く、蹴り飛ばしたくなる新宿の街、ありふれた笑い話に意識して出す優しい声、少しずつけれど確実に分離していく、ずっと埋められない空白、辛い出来事は過去になってからその凶悪性を増して襲いかかるものだと知る、花瓶の中で腐る花、曇天の…

無題

何をしてても気持ちが沈んでしまい、人に会うのが恐ろしくて、呼吸をするのが困難で、食べることすらままならない 悲しいから泣いている 苦しいから泣いている 自分のための涙をゆるしてあげてから幾分か眠れない夜を超えやすくなった それでも、本当はこん…

3

果てしない平行線のまま、たゆたい続ける 置き忘れたものは何だったか まばたきを数える 風が鳴り止む 男は「俺もお前も好んで苦を食ってる」と言う、女は何も言わずただ涙を流している どこまでも残酷になれる あの日ついた嘘がちらつく

2

正しさなんていつも持ちあわせていなくていい、誰とも話さない日があってもいい、チャイナブルーで酩酊してもいい、たまには不埒なことを考えてもいい、嘘をついて逃げ出してもいい、夜更けにタバコを吸ってもいい、それから君のことをまだ想っていてもいい

無題

日が伸びた わたしの髪の毛も伸びた もうすぐ5月 ある人たちに対する怒りや憎しみは赦すことなく、ただ何処かへ消え去ってしまってから、わたしは他者に対して本気で向き合うことが無くなってしまった 長い間鬱屈としていたせいで、赦すタイミングを見失って…

無題

目を開けて、閉じて、夕闇にぼうっと光る窓の羅列が駆け抜けて行くのを見つめていた 目の端に、やけにはっきりとした輪郭を持つ三日月が映る 「全ての物事に意味はあると思う?」と聞いたら「あると思う、良いことにだけ意味付けたいのかもしれないけど、悪…

4月8日 会えない間焦がれるのは勿論のことだけれど、会えた後もこんなに胸が切なくて、堪らなくて、苦しくなるものなのか 恋によく似た憧憬 その晩、わたしがあのライブハウスで見たまんまの彼が夢に出てきて、どうかこの夢が醒めませんようにと願いながら、…

無題

電車に乗っていたら、車窓にビルと赤い夕焼けが流れて来て、あっと思った瞬間、時間がすり減って行く現象が感覚として伝わり、思わず泣きそうになってしまった いつも目先のことばかりで精一杯のくせに、ふとした時、有限であるものたちの存在に慄いてしまう…

無題

大切にしたいと思ったものは目に見えないものばかりだったから、不安だった それらの存在意義や重要度を推し量ろうとすると余計不安になったから、わたしはしばらく目を逸らすことにした ちぐはぐな感情を抱えたまま迎える新しい月 浮ついた街並みが少しうら…

無題

あの日々を思い出にするのが怖くて、写真を見返すことが出来なかった 赤い街のにおい、まぶしいくらいの日の光、額を伝う汗、肌の色が異なる人々、空が藍色に塗り替えられていくのを見つめる彼の横顔 ずっとこのままでいられる訳なんてないって、何度もさみ…

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一旦不安になってしまえば、それは拭えない大きな塊と化し、これでもかというくらいわたしに纏わりつく 意識しないと深い呼吸が出来なくなるくらい、甲高い耳鳴りが止まなくて涙が出てしまうくらい、わたしがわたしであるためにそれらと闘う夜、楽しい記憶も…

無題

自分が感じたものの輪郭線すらあやふやになっていくことがとても怖くて、思ったことを文字にして残すという作業を再開することにした 一昨日辺りから、日が昇るとわたしの部屋には春のにおいが充満していて、穏やかな目覚めを迎えることができるようになった…