無題

目を開けて、閉じて、夕闇にぼうっと光る窓の羅列が駆け抜けて行くのを見つめていた 目の端に、やけにはっきりとした輪郭を持つ三日月が映る

 

「全ての物事に意味はあると思う?」と聞いたら「あると思う、良いことにだけ意味付けたいのかもしれないけど、悪い意味だって存在しているよ」と答えた君との出会いについて考えている

わたしはずっとずっと物事に白黒付けるのが苦手で、だから本当は意味なんて無いよ、と言ってもらいたかった そうすればダメになってしまった時でも元々意味が無いから仕方ないと、諦める口実になるから 果たして悪い意味にも転じえるものをどうやって受け入れたらいいのだろう 

 

誰かの一番になんてきっとなれない 足りない部分をその場しのぎで補えたとしても、満たされることなんて一生ない 「それでも」、と縋れる人のことをわたしはひどく羨ましく思う 情熱が欲しいのだ 振り払われても執着してしまうほど、わたしは何かに熱くなってみたい