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果てしない平行線のまま、たゆたい続ける 置き忘れたものは何だったか まばたきを数える 風が鳴り止む 男は「俺もお前も好んで苦を食ってる」と言う、女は何も言わずただ涙を流している どこまでも残酷になれる あの日ついた嘘がちらつく

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正しさなんていつも持ちあわせていなくていい、誰とも話さない日があってもいい、チャイナブルーで酩酊してもいい、たまには不埒なことを考えてもいい、嘘をついて逃げ出してもいい、夜更けにタバコを吸ってもいい、それから君のことをまだ想っていてもいい

無題

日が伸びた わたしの髪の毛も伸びた もうすぐ5月 ある人たちに対する怒りや憎しみは赦すことなく、ただ何処かへ消え去ってしまってから、わたしは他者に対して本気で向き合うことが無くなってしまった 長い間鬱屈としていたせいで、赦すタイミングを見失って…

無題

目を開けて、閉じて、夕闇にぼうっと光る窓の羅列が駆け抜けて行くのを見つめていた 目の端に、やけにはっきりとした輪郭を持つ三日月が映る 「全ての物事に意味はあると思う?」と聞いたら「あると思う、良いことにだけ意味付けたいのかもしれないけど、悪…

4月8日 会えない間焦がれるのは勿論のことだけれど、会えた後もこんなに胸が切なくて、堪らなくて、苦しくなるものなのか 恋によく似た憧憬 その晩、わたしがあのライブハウスで見たまんまの彼が夢に出てきて、どうかこの夢が醒めませんようにと願いながら、…

無題

電車に乗っていたら、車窓にビルと赤い夕焼けが流れて来て、あっと思った瞬間、時間がすり減って行く現象が感覚として伝わり、思わず泣きそうになってしまった いつも目先のことばかりで精一杯のくせに、ふとした時、有限であるものたちの存在に慄いてしまう…

無題

大切にしたいと思ったものは目に見えないものばかりだったから、不安だった それらの存在意義や重要度を推し量ろうとすると余計不安になったから、わたしはしばらく目を逸らすことにした ちぐはぐな感情を抱えたまま迎える新しい月 浮ついた街並みが少しうら…

無題

あの日々を思い出にするのが怖くて、写真を見返すことが出来なかった 赤い街のにおい、まぶしいくらいの日の光、額を伝う汗、肌の色が異なる人々、空が藍色に塗り替えられていくのを見つめる彼の横顔 ずっとこのままでいられる訳なんてないって、何度もさみ…

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一旦不安になってしまえば、それは拭えない大きな塊と化し、これでもかというくらいわたしに纏わりつく 意識しないと深い呼吸が出来なくなるくらい、甲高い耳鳴りが止まなくて涙が出てしまうくらい、わたしがわたしであるためにそれらと闘う夜、楽しい記憶も…

無題

自分が感じたものの輪郭線すらあやふやになっていくことがとても怖くて、思ったことを文字にして残すという作業を再開することにした 一昨日辺りから、日が昇るとわたしの部屋には春のにおいが充満していて、穏やかな目覚めを迎えることができるようになった…