無題

電気を消すとあなたの輪郭だけが確かだった 他の全ては曖昧になって、その中で神経質に響く時計の秒針の音を聞くのが好きだった カーテンの隙間から朝日が漏れて、幻じみた夜が終わる くっきりと露わになった世界を見ると恐ろしいほど悲しくなった 幸福じゃなかったけど、わたしはそんな惨めな恋に縋るほど愚かで弱かった

 

 

 

1月8日

大切な友達が1人帰国した。空が青い日だった。

 

1月11日

おじいちゃんがディナーに招待してくれた。沢山思い出話を聞かせてくれた。私にもし本当のおじいちゃんがいたらきっとこんな感じなのかなぁと思った。そして泥酔した。

 

1月14日

ここ数日夢から覚めるのに随分と時間がかかるのだけど、特にこの日は酷かった。バイトはいつも通りお客さんが少なかった。夜にたらこスパゲッティを作って食べた。ドラキュラ伯爵を観ながら食べたら気持ち悪くなった。

08/11/2019

携帯を誰かに盗まれてから、すっかり更新する気を失くしたこのブログを放置して、もうすぐ一年が経とうとしていた

 

相変わらず訳もわからず悲しい日というのは訪れる

丁寧な暮らしなんてものには程遠い、昼夜逆転生活の方が多いし、昨日もスパゲティを暴食してしまった

他人の感情に左右されて、一日中寝込むことだってある

それでもこの前初めて一人旅を敢行した際に、とある港街でどうしようもなくフィッシュバーガーが食べたくなり、街一番のフィッシュバーガー屋さんを調べ、赴き、「フィッシュバーガーください!」と注文した瞬間、途方もない自由を感じた

そして強風の中、淡白な白身魚とあまりピクルスが効いていないのっぺりとしたタルタルソースを咀嚼しながら、わたしは自己決定というものを実感していた

それは紛れもなく大人になったわたしの特権で自由だった

 

遡ること8年前、14歳の私は漠然と20歳になる前に自分は死んでいるだろうと思っていた

ある種の希死念慮に取り憑かれていたのかもしれない

若しくは少女という甘美な響きに憧れて、大人への抵抗としての自殺を夢見ていたのかもしれない

どちらにせよ私は大人にならないつもりだった(ちなみにその時の私の大人の定義はハタチから)

実際、14歳から数年続けていたブログにはそういった旨の意思表示があったし、決意はわりに固かった、はず

でも、私はまだ生きている

14歳の私が想像した大人として、私はまだ生き永らえているのだ

正直、20歳を超えた時は20歳としての実感が沸かず(私の中でお酒もタバコも20歳を象徴するものとして機能していなかった)、ただ記号とした時に見たその数字に愕然とした

成人式は欠席したので思い出話に花咲かすことなく、自分の中で20歳であるということを消化するのに1年を要し、そうしていたら21歳になっていたし、先月誕生日を迎えてもう一つ歳を取った

 

これは未だに良いことなのか悪いことなのか分からないけど、大人になってから感受性が鈍くなった気がするし、あれだけ憎くて忘れてやるものかと思ったあの子のフルネームや恥ずかしかった出来事を忘れた

後者はまぁ、いい

問題は前者で、たとえば季節の変わり目のにおいにいちいち心を揺さぶれて泣くことがなくなったし、毎日流れる悲惨なニュースに感情移入し過ぎて学校に行けなくなる、ということもなくなった

確かに少し楽な生き方が出来るようになったのかもしれない、けど、わたしはあの窮屈で泥の中を縫って息をしていた日々を愛していた

ゆえにちょっとさみしい、し惜しい気がしている

でも同時にこれで良いんだとも思っている

良し悪しは置いておいて、私は私の生きやすい道をちゃんと模索してきたのかもしれないから

 

そういえば前『アメリ』に憧れて、好きなこと/もの・嫌いなこと/ものをリスト化していたのだけれど、あのメモ用紙はどこにしまったっけ

最近、追加したい好きなことが増えたので記しておく

「一日の終わりに明日の話をすること」

 

f:id:yumemimic:20191108080635j:image

 

f:id:yumemimic:20191108080656j:image

 

f:id:yumemimic:20191108080735j:image

 

f:id:yumemimic:20191108080817j:image

 

f:id:yumemimic:20191108080833j:image

 

f:id:yumemimic:20191108080847j:image

 

無題

俗っぽい流行りの歌に簡単に涙を誘われ、アイラインは完全に落ちて、最後に我慢していた涙が鼻をかすめる

改札を抜けて数十歩 あの時、振り向いて良かったのだろうか 無邪気さを装って手を振って良かったのだろうか

夜が明けていくのを車窓越しに見ている 最寄駅に着く頃にはあたりは白く輝いているだろう

無題

「傷付けたくないから」といって不作為の行動をとるのは、きっと怠慢なのだろう 真意を説明する手間を惜しまないことこそが大切だったのだと、後になってようやく気が付く

 

本当に欲しいものは口に出せなくて、代替品はすぐに壊れる不良品ばかり 人からもらった熱のある言葉は分からないふりをして押し戻し、そうして結局、わたしの手元に残ったものは何一つ無かった

自分で自分の猜疑心を育ててきたようなものだったけれど、最近、今まで信じられなかった人や物を信じてみたいって思えるようになってきた

 

来年、わたしは此処から居なくなる

その時までに失くしたくないアレやコレに、ちゃんと大切だよっていう証を残せたら良いなと思う

無題

器量がない分すぐにいっぱいいっぱいになってしまう やらなくちゃいけないことがちゃんと出来ない 手間取ってさらに泣きそうになる 胃がじんわりと痛む

目覚ましの音が聞こえなくなって緑色のカプセルを飲んで私は自分が今何処に居るのかすらも分からなくなって人にすがって最悪だ

無題

忘れられない思い出が思い出せない 380000キロ、あの惑星と同じくらい遠いところにそれはある気がする これから過ぎる季節・事象にわたしは何を想い、何に胸を切なくさせ、そして何回それらを忘れたくないと願うのだろう 一体わたしの手元には何が残るだろう

 

9月22日

風はもう冷たくて、そろそろ秋服を出さないといけなくて、あらゆるコンビニの新発売のスイーツは芋とか栗系で、つっかけて履いた白のサンダルは街中ではちょっと浮いて、夏の死んだ匂いを嗅ぎ忘れたなと思ったりして、少し立ち止まって、Tempalayの新曲をイヤフォンから流して、夜はもうふかふかの毛布にくるまらなきゃ寒くて眠れない

 

映画を観る時間が減ってしまった。Netflixは値上がりをした。近所のTSUTAYAは潰れた。悲しい。最近悲しいことばかりだな