無題
好きな曲の意訳と考察
House fire / Someone Still Loves You Boris Yeltsin
この家が焼け落ちないようにやれることはやった
でも木の家ってやつは簡単に燃えちまう
あぁ、君が僕のことをダーリンって呼んでくれることはもう二度とない
君の名を咳払いした
たばこを一日中吸った
眠くなくなるまで眠った
ひたすらに眠っていた
どうか燃やさないでくれ
惑わないでくれ
気にしないでくれ
車が事故らないようにやれることはやった
血に染まる君の愛らしい顔
まだ生気がある君の顔
エアバッグが窒息させる
あぁ、もう少し隙間が欲しい
フロントガラス越しの雨
僕はただ君が少しずつぐったりする様子を見ていた
傷付ける必要はあったのか?
どうか惑わないでくれ
気にしないでくれ
電話をかけないでくれ
すべて失ってしまうから
彼女の悪い知らせには慣れている
それはただの、悪い知らせ
日本語に訳す時に自然に聞こえるよう主語を省いたが、“僕たち”は家が焼け落ちるのを防いだり、“僕たち”は車の事故を起こさないように頑張ったにもかかわらず、家は焼け落ち、車の事故は起きてしまったという歌詞。物語のように淡々と語られるこれらの悲惨な出来事は、“僕たち”の関係の終わりを示すものだと考える。つまり、切ない別れの歌なのだ。もう修復が出来ないところまで来てしまっているので、僕は廃人のようにたばこを一日中吸うし、彼女は憔悴し切っている。
面白いのが“I”で語られていた物語が、最後のリリックで“You”になるところ。これまた日本語に訳す時に主語があると違和感を感じるのであえて伏せたが、“あなた”はすべてを失ってしまう、“あなた”は彼女の悪い知らせには慣れている、となっている。急に俯瞰的な目線になっていることから、ふとサビで繰り返される“〜しないでくれ”という願いは彼女にではなく、自分自身に語りかけているのだろうか?とまた違う見方を思い付く。
………ここまで真剣に考察してみたが、2006年のインタビューで、
「この曲にメタファーなんて無いよ、単純に家が焼け落ちて、車が事故る話さ。みんなこれを恋愛関係の話だと思っててワロタ」
と言っててめちゃくちゃガックリ来た。